校長会の研究 第9回
管理職昇任人事における「天下り」組の圧倒的優位
  2001.6.24

■新任校長の高年齢化テキスト ボックス:
  近年、「生え抜き」組の新任校長の年齢が目立って上昇している。2001(平成13)年4月1日付けで発令された新任校長を、「天下り」組と「生え抜き」組に区分してグラフにすると下のようになる(「天下り」のうち、校長経験のある者は除く)。
 平均年齢は「天下り」の55.2歳に対して、「生え抜き」が57.4歳である。中央値(ちょうどまん中の者の年齢)では、「天下り」の55歳に対して、「生え抜き」は58歳に達する。
 過去の分と比較すると、次の通りである。1998(平成10)年度の平均と中央値(括弧内)は、
  ▼天下り =平均55.1歳(55歳)
  △生え抜き=平均56.1歳(57歳)
   1994(平成6)年度には、
  ▼天下り =平均55.1歳(55歳)
  △生え抜き=平均56.1歳(56歳)
 このように、ここ数年、一貫して「生え抜き」組の昇任年齢が上昇している。

■拡大する格差
 1999(平成11)年度以降は、「生え抜き」組の昇任者は、全員56歳以上となり、「天下り」組の昇任の平均年齢ないし中央値である55歳以下での昇任者はひとりもいない。
 今年度ついに、「生え抜き」組新任校長の年齢の中央値が58歳になった。58歳ということは、定年退職まで残り2年である。もはやあとがないところまできている。このままの状況で推移すれば、59歳で任期1年という「蜻蛉校長」の出現も時間の問題である。
「生え抜き」組校長の高齢化は、教頭昇任時における「天下り」組と「生え抜き」組の歴然たる格差がもたらした必然的結果である。
ふたたび教頭昇任について検討する。

■95名の教頭昇任被推薦者
 本研究第7回(「校長会の人事」その2)において、学校からの教頭昇任(「生え抜き」)と、教育庁等から学校への教頭としての転出(「天下り」)について検討した。その際、推薦者と合格者の人数については推定値を示したが、その後、茨城県情報公開条例に基づく行政文書の開示によって正確な数値があきらかになった。今年度4月1日付けで発令された教頭昇任の選考過程について概略をみてみよう。
 2000(平成12)年12月上旬、高校教育課打越慎一人事担当課長補佐(現日立北高校長)あてに、各高校の所属長(校長)から87名分、教育庁等の所属長(課長、所長等)から8名分、合計95名分の教頭昇任に関する推薦書が提出された。
 被推薦者は高校の場合1校あたり1名であるが、4月1日現在で55歳の者が含まれる場合には特例で2名とされた。この段階での学校ごとの推薦人数は不明だが、いくつかの学校からは2名推薦されたものと思われる。実際に、土浦工業高校から2名が教頭に昇任した。
 教育庁等の場合はもともと人数制限はなく、高校教育課からは3名、教育研修センターと総務課からは2名が推薦され、全員が教頭に昇任した(本研究第8回参照)。

■23名の前年度名簿登載者
 被推薦者95名のうち23名は、前年度の教頭試験に合格し、合格者名簿に「登載」されたものの、結果的には昇任の発令を受けることなく、そのまま1年間待たされた人たちである。なお、この23名は全員が学校の教諭で、教育庁等職員は含まれない。教育庁等職員の場合、「登載」即「発令」なのである。
 結局のところ、被推薦者95名のうち、「登載」者23名を除く72名(学校64名、教育庁等8名)が、当年度の新規被推薦者である。

■7名の受験対象外者

 被推薦者95名のうち、2月11日の日曜日、友部町の教育研修センターでおこなわれた選考試験を受験できたのは88名である。被推薦者のうち7名が受験を許されなかった。この選択の要件や経緯は不明である。なお、7名は全員が学校からの被推薦者だった。
 受験者88名のうち、積み残し組23名は、面接試験だけを受けた(ただし、文書上はあきらかでなく、詳細は不明である)。残りの65名(学校57名、教育庁等8名)が今年度の新規受験組ということになる。

■1名の無試験合格者
 この新規受験組のうち、高校教育課の人事担当管理主事は、試験を免除される。平成13年度の場合でいうと小林勉管理主事(現松丘高教頭)である。
 このように人事担当管理主事から無試験で教頭になったのは、西野孝二大洗高教頭、村松輝美前茎崎高教頭(現高教課人事担当課長補佐)、竹井茂雄下妻一高教頭、打越慎一日立北高校長、覚幸鉄太郎茎崎高校長、山田隆士高校教育課長、中庭秀樹那珂高校長、秋山和衛太田一高校長、長瀬宗男前土浦一高校長、等々である。
 当然ながら、現在の市村博、小田部幹夫、柴原宏一、大高馨、萩谷主郎の各管理主事は、途中で研修センターの指導主事にでもならない限りは、今後5、6年の間に全員が無試験で教頭になることになる。
 ついでに触れておくと、高校教育課人事担当課長補佐は、無試験で校長に就任している。該当者は、打越慎一校長、中庭秀樹校長、山内洋行元下妻二高校長(現教育研修センター所長)、秋山和衛校長、長瀬宗男元校長、等々。

■面接試験と筆頭試験
 さて、名簿登載組23名と無試験組1名が除かれ、結局六四名について、筆頭試験と面接試験がおこなわれる。
午前8時から10時まで、面接試験がおこなわれる。ひとりあたりの時間はわずか2分間にすぎない。
 つづいて、10時15分から2時間の筆頭試験がおこなわれる。ほとんどが「穴埋め問題」で、そのうえ「持ち込み可」である。県教育委員会は試験問題の開示を拒んでいるが、どういうわけか教育業界紙出版社から出版されている。出題内容の分析については、あらためて別の機会におこなうこととする。

■名簿登載者と昇任者
 受験者64名のうち、合格して13年度の名簿に「登載」されたのは、40名である。内訳は学校が32名(不合格25名)、教育庁等が8名(不合格なし)である。 いよいよ、結果が出る。
 4月1日付けで教頭に昇任したのは、36名、内訳は、学校28名、教育庁等8名であった。学校の28名のうち、23名は12年度の名簿に「登載」されたうえで積み残され1年間待った者であり、残りの5名が新たに13年度の名簿に「登載」された者である。


■滞留する積み残し組
 以上の通り、教育庁等からの被推薦者は8名全員が昇任したが、一方、学校からの新規被推薦者64名のうち、教頭に昇任したのはわずか5名に過ぎない。32名が受験対象外か不合格となり、27名が積み残し組として翌年まわしとされた。
 前年度は23名だった積み残し組は、今年度分は27名に増えた。来年度の教頭昇任は、この積み残し分と「天下り」組だけでほとんど満杯となり、新規の被推薦者の昇任は絶望的だろう。
「2年待ち」は不可避となり、さらには中途キャンセルの悲劇も生じよう。

■天下り組による校長独占の可能性
 ずるずると現状のまま推移すれば、教頭昇任年齢の事実上のタイムリミットである55歳という線は、破綻する。56歳や57歳の教頭の出現は不可避である。
 近い将来、学校統廃合による校長ポストの減少が進行することになれば、最終的に校長ポストは「天下り」組と、外部から登用された「民間人」によって独占状態となる。「生え抜き」組は、教頭止まり、それも任期2、3年というのが一般的となる。
 県立学校の管理職人事は、間もなく危機的な局面に到達する。

「校長会の人事」シリーズはこれで終了します。
 第8号で予告した、校長の異動パターンの類型分析は、あらたな「校長会の人事」シリーズにおいておこないます。
最後に今年度の県立高校長の一覧を掲げます。本研究第七回で、昨年度分について教頭昇任時の年齢順に並べたものを掲げましたが、今回は校長昇任時の年齢順です。

校長に昇任した時の年齢順に並べた県立高校長一覧表
齢:2001年4月1日現在の年齢 頭:教頭昇任時の年齢(第2キー昇順) 長:校長昇任時の年齢(第1キー昇順)
学校名 氏名 教育庁等の経歴 学校名 氏名 教育庁等の経歴
1 水戸工業 小祝正盛 58 47 50 55 土浦第三 早水俊雄 59 53 56
2 日立第一 日座彬人 59 教研セ次長 - 51 55 並木 小竹修 58 53 56
3 土浦第二 染谷信洋 56 高教課副参事 - 52 55 下館第二 早瀬征男 59 53 56
4 日立北 打越慎一 53 高教課人事補佐 49 53 55 岩井西 猪瀬勝衛 56 53 56
4 太田第一 秋山和衛 59 教研セ所長 49 53 59 高萩 高安忠行 57 54 56
4 水戸第二 北島瑞男 59 指導課長 49 53 59 日立工業 益子宗明 59 54 56
4 友部 谷島英一 54 高教課企画補佐 49 53 59 潮来 益子次男 57 54 56
4 真壁 幸田隆男 56 49 53 59 鹿島 中根誠 59 54 56
9 勝田工業 平井昭志 58 50 53 59 波崎柳川 小沼恒敏 56 54 56
9 土浦工業 鶴見重夫 58 指導課指導主事 50 53 59 結城第二 嶋田邦紘 57 54 56
11 鉾田農業 早舩直人 56 51 53 59 古河第二 植野孝雄 58 54 56
12 太田第二 大木弘寿 59 県体協本部 47 54 66 日立第二 仲田昭一 57 歴史館室長 51 57
13 大宮工業 鈴木茂 55 教研セ指導主事 48 54 66 筑波 岩瀬良宏 57 県南セ副参事 51 57
13 三和 染谷心 56 教研セ課長 48 54 68 大子第二 横山英生 59 53 57
15 水戸桜ノ牧 緑川裕 59 教研セ課長 49 54 68 常北 石井要行 59 53 57
15 那珂湊第一 森山勝一 56 指導課長補佐 49 54 68 小川 笹目克夫 59 53 57
15 那珂湊第二 増山弘 55 教研セ課長 49 54 68 石下 大和田明 59 53 57
15 下妻第一 高橋昇 58 教研セ課長 49 54 72 多賀 鈴木仟 59 54 57
19 取手第一 助川隆朝 57 50 54 72 里見 寺門隆次 59 54 57
19 総和工業 前嶋寛一 58 50 54 72 鉾田第二 大山勝之 58 54 57
21 水戸第三 坂本忠夫 58 保体課長 51 54 72 麻生 斎藤正五 58 54 57
22 下館工業 高野驩一 58 52 54 72 龍ケ崎第二 坂本勝男 57 54 57
22 総和 青柳正美 54 保体課指導主事 52 54 72 藤代 小濱隆 58 54 57
24 玉造工業 大平勇次 55 教二課管理主事 47 55 72 牛久 川島弘之 57 54 57
25 牛久栄進 中條武樹 56 教研セ指導主事 48 55 72 古河第三 小島昇 58 54 57
26 緑岡 打越靖 58 教研セ課長 49 55 72 岩井 鈴木則之 59 54 57
26 水戸農業 二階堂章信 58 教研セ研究主事 49 55 81 山方商業 佐川昇一 58 55 57
26 水戸商業 大森正志 58 情報セ課長 49 55 81 海洋 岡部禮二 59 55 57
26 那珂 中庭秀樹 57 高教課人事補佐 49 55 81 東海 茂又孝紀 59 55 57
26 神栖 根本明徳 55 教研セ指導主事 49 55 81 鹿島灘 吉武和治郎 58 55 57
26 茎崎 覚幸鉄太郎 55 教二課管理主事 49 55 81 中央 三輪義治 57 55 57
26 下館第一 小神野藤雄 58 教研セ課長 49 55 81 江戸崎 小野清秀 58 55 57
26 結城第一 植木行宏 55 指導課指導主事 49 55 81 江戸崎西 清水昂 57 55 57
34 日立商業 増田賢一 58 教研セ係長 50 55 81 藤代紫水 高野大二郎 58 55 57
34 水戸第一 池田都實康 59 教育次長 50 55 81 上郷 飯田孝 59 55 57
34 明野 山野隆夫 55 教研セ指導主事 50 55 81 岩瀬 大山恒雄 59 55 57
37 大洗 鈴木勇一 55 水戸生涯セ課長 51 55 81 水海道第二 鈴木孝八郎 58 55 57
37 下妻第二 湯本孝 59 保体課保健係長 51 55 81 横田功 58 55 57
39 鉾田第一 塙武元 58 52 55 81 境西 柳田武 58 55 57
39 龍ケ崎第一 鈴木忠治 58 52 55 94 佐竹 川上愛 58 52 58
39 八千代 豊崎功 59 52 55 95 大子第一 深津澄世 59 53 58
39 伊奈 柳田昌秀 58 運動公園副参事 52 55 95 茨城東 松木幹太 59 53 58
43 鬼怒商業 染谷悟 57 教二課管理主事 49 56 95 龍ケ崎南 大久保昇 59 53 58
44 佐和 源栄英夫 59 教研セ研究主事 50 56 98 波崎 八馬弘至 59 54 58
44 大宮 小圷利男 57 体協主査 50 56 98 八郷 鶴田周治 58 54 58
44 土浦湖北 石塚眞 56 文化課文一係長 50 56 98 つくば工科 野口省司 58 54 58
47 土浦第一 三輪志郎 58 水戸生涯セ課長 51 56 101 松丘 藤正文 58 55 58
47 石岡第二 斎藤靖夫 58 生涯学習課係長 51 56 101 高萩工業 鈴木巳代治 59 55 58
47 石岡商業 井波範好 57 51 56 101 磯原 松本宏 58 55 58
47 竹園 清水浩 58 歴史館室長 51 56 101 北茨城 小泉陽一 58 55 58
47 守谷 長谷川訓也 58 保体課保健係長 51 56 101 小瀬 木村眞 59 55 58
52 笠間 小暮守雄 57 保体課体育係長 52 56 101 水戸南 安昌美 59 55 58
52 古河第一 荒井良雄 58 52 56 101 勝田 渡邊眞那夫 58 55 58
52 猿島 廣瀬弘 56 52 56 101 石岡第一 阿部敏博 59 55 58
101 取手第二 近藤隆 58 55 58
101 取手松陽 東谷賢二 58 55 58
101 水海道第一 梅澤浩 59 55 58


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